英子の話が終わった。
「英子のこと、傷つけちゃって本当にごめんなさい」
 開口一発目、私は改めて謝罪をした。
「うんん。傷ついてないわよあたし。っていうかあたしのこと、救ってくれてありがとう」
 とお礼を返された。
「私もありがとう。英子の言葉に救われたよ?」
「ほ、本当に?あたし、何か力になれた?」
「うん!私のこと面白いって言ってくれて、私を普通の人扱いしてくれた」
「、、、友達で、恩人なんだから、当たり前じゃない!」
 今まで見た笑顔の中で、1番明るくて、嬉しそうな笑顔だった。
やっと、私は英子の本当の笑顔を見た気がした。
「私、なにも、英子のこと知らなかった。そして、私のこと、知ってもらおうとしなかった。知ってもらう以前に、、、隠してた。だけど、これからは、英子のこと、もっと知りたい。そして、私のこと、もっと知って欲しい。」
 風奏は身を乗り出して、今の思いを伝えた。
「、、、うんっ!!」
 少し驚いたような顔をしたあと、満面の笑みを浮かべ英子は頷いた。

「そういえば、律くんとちづくんにも謝らないとな」
 ふと声をしずめ呟いた。
「え?謝る?どういうこと?」
「あたし、風奏とのこと2人に相談しててアドバイスとかもらってたの。でも勇気が出なくて話そうとせずに逃げてばっかりだったから。申し訳なくて」
「そうだったんだ。あ、確かに2人、知ってる素振りしてたもんね」
 私は2人の言動を思い出し、合点がついた。
「英子の家、案内してくれたの、あの2人なんだ」
「えっ?そうなの?じゃあ2人家の前に?」
 英子が声を裏返して訊く。
「あ、うんん、私たちだけで話しておいでって2人にしてくれたの。広場で待ってるからって」
「そうなんだ。え?じゃあ3人で学校サボったの?」
 少し声を低くしながら英子が私に目を向ける。
「えっと、、、まぁ」
 私は少し身を引きながら答える。
「、、、じゃ、あたしも学校サボろ」
「、、、え?」
 英子の言葉に私は思わず低い声が出た。
「あたし、昼から学校行こうかなって思ってたのよね。だけどやーめた」
 確かに英子はパジャマではなく制服姿だった。
「今から、カラオケ行こ!一日くらいいいわよ!テストも終わったことだし。あたしの音痴見せてあげる」
 そう息巻く英子と共に千絃と律の元へ向かい、4人で楽しい時間を過ごすことになった。
大切な友達と、やっと心が通じ合った気がした。