内心戸惑っていると
「ねぇ、風奏、ちづくんと律くんのネット、見てみよう」
こっそりと耳打ちしてきた。
「うん」
私は頷き、スマホを取り出す。
「、、、わ、もう動画の再生回数伸びてるよ」
「やっぱりあの2人、、、すごいよね。手が届かなさい所にいるみたい」
英子がそう反応した。
「手の届かない、、、ところ?」
私の胸が激しく動くのがわかる。
『お前って、自分がすげぇやつって思ってんの?』
『手の届かないところにいれるやつってやっぱり違うよな』
『誰でもなれると思ってんの?』
「でも、、、ちづくん、歌以外取り柄がないっていうのがもっと頑張って欲しいのよね」
「、、、は?」
取り柄がない?頑張って欲しい?
「律くんだってちょっとチャラいから、生徒指導の先生に目をつけられてるし、、、困った人たちだわ」
「え?」
チャラい?困った人たち?
「風奏も、ピアノめちゃくちゃ弾けるのに、勉強ができないなんて、面白いわよね」
「え?!」
面白い?!
「そうやって何か得意なものがあって苦手なものがあって。誰だって苦手なもの抱えてさ、人間味があるっていうか、私でも追いつけるって頑張れる。それで得意なものを一生懸命伸ばせる人、本当に尊敬する」
「ヒメ!お得意の毒舌が出てるぞ」
私たちの会話に千絃が口を挟んだ。
「うわッ!?」
「ひゃっ?!」
声を合わせて奇声を上げる。
「、、、いつから聴いてたの?ってかあたし何処から毒舌に?!」
「あ?手の届かない人呼ばわりしたとこから聴いてたし」
「毒舌は、そのあとらへんからかな〜?」
千絃は少しウザそうに、律は面白そうに言う。
「英子ちゃんはちょっと毒舌になるところが英子ちゃんの言う苦手なこと、かな?」
「勉強以外全部よ!みんなみたいに音楽の才能ないし、、、、勉強以外得意なものないわよ」
「あぁあ、まーた始まったよ、ヒメの毒舌タイム、、、」
「そこが可愛いんだろ?」
「か、可愛い?!ど、何処がよ!」
「、、、そーやって否定するところ」
「もう!こういうところチャラいんだから」
「いや、俺は本気で」
「あーもううるせぇな、りちもヒメばか褒めタイムが始めったよ、、、」
わちゃわちゃと3人の仲のいいじゃれ合いを私は眺める。
「、、、、、、」
眺めながら、英子の言葉を反芻した。
『風奏も、ピアノめちゃくちゃ弾けるのに、勉強ができないなんて、面白いわよね』
こんな私が、面白い?
いつも、天才扱いされて、距離を置かれてた、、、私が?
「、、、風奏、どうしたの?」
押し黙っている私の顔を覗き込み、英子が訊く。
「、、、あの、私が面白いって、、、」
「え?面白いは面白い、、、じゃない?風奏はとっても素直で優しくて、面白い。昔からそうだったよ?」
「昔から?」
「え!?あ、や、違くて、、、」
私が英子の言葉に困惑していると英子も自分の言葉に焦っている。
「もう言っちゃえばいいんじゃない?英子ちゃん」
律が優しく問いかける。
「、、、鈍感すぎて俺、もう見てらんねぇ」
呆れたように千絃が言う。
「ど、どういうこと?」
私は全く意味が分からず戸惑いの声を上げる。
助けを求めたくて英子の方を向くと気まずそうに下を向く英子が写った。
「英子、、、?」
「風奏、、、。あたしたち、高校で初めて会ったんじゃないの」
意を決したように私の目に訴えかけるようにまっすぐな視線を送ってきた。
「中学1年生の時、同じクラスだったの。、、、覚えてない?」
「中学生、、、」
私が1番記憶を消したい時期。
辛かった、、、時期。
「えっと、、、ごめん、、、。中学生、か。覚えてない」
「そ、そうよね!ごめんね、突然」
私の言葉に少なからず落胆の色を見せた。
でもそれを隠そうと無理に笑顔を作っている。
目を潤ませながら笑顔を見せる英子に私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「えっと、あの」
「いいのいいの!あたしのことは気にしないで」
「英子ちゃん、、、」
律が少し怒ったように英子を見つめる。
「、、、もう!大袈裟だなぁ。っていうか、律くんもちづくんもおにぎり食べたら?お昼まだでしょ?」
無理に笑顔を作ってこの場を和ませようとする英子に、私はかける言葉を失ってしまう。
「あ、そうだ!あたし今日塾があって。もう帰らなきゃ!」
「え、英子?」
「じゃあね!」
英子は慌てたように扉から出ていった。
「英子、、、」
私は英子の出ていった扉をただ見つめるだけしかできなかった。
雨が窓に勢いよく打ちつける音だけが響いていた。
いつの間にか、雨が降っていた。
梅雨を思わせる急なにわか雨だ。
「ねぇ、風奏、ちづくんと律くんのネット、見てみよう」
こっそりと耳打ちしてきた。
「うん」
私は頷き、スマホを取り出す。
「、、、わ、もう動画の再生回数伸びてるよ」
「やっぱりあの2人、、、すごいよね。手が届かなさい所にいるみたい」
英子がそう反応した。
「手の届かない、、、ところ?」
私の胸が激しく動くのがわかる。
『お前って、自分がすげぇやつって思ってんの?』
『手の届かないところにいれるやつってやっぱり違うよな』
『誰でもなれると思ってんの?』
「でも、、、ちづくん、歌以外取り柄がないっていうのがもっと頑張って欲しいのよね」
「、、、は?」
取り柄がない?頑張って欲しい?
「律くんだってちょっとチャラいから、生徒指導の先生に目をつけられてるし、、、困った人たちだわ」
「え?」
チャラい?困った人たち?
「風奏も、ピアノめちゃくちゃ弾けるのに、勉強ができないなんて、面白いわよね」
「え?!」
面白い?!
「そうやって何か得意なものがあって苦手なものがあって。誰だって苦手なもの抱えてさ、人間味があるっていうか、私でも追いつけるって頑張れる。それで得意なものを一生懸命伸ばせる人、本当に尊敬する」
「ヒメ!お得意の毒舌が出てるぞ」
私たちの会話に千絃が口を挟んだ。
「うわッ!?」
「ひゃっ?!」
声を合わせて奇声を上げる。
「、、、いつから聴いてたの?ってかあたし何処から毒舌に?!」
「あ?手の届かない人呼ばわりしたとこから聴いてたし」
「毒舌は、そのあとらへんからかな〜?」
千絃は少しウザそうに、律は面白そうに言う。
「英子ちゃんはちょっと毒舌になるところが英子ちゃんの言う苦手なこと、かな?」
「勉強以外全部よ!みんなみたいに音楽の才能ないし、、、、勉強以外得意なものないわよ」
「あぁあ、まーた始まったよ、ヒメの毒舌タイム、、、」
「そこが可愛いんだろ?」
「か、可愛い?!ど、何処がよ!」
「、、、そーやって否定するところ」
「もう!こういうところチャラいんだから」
「いや、俺は本気で」
「あーもううるせぇな、りちもヒメばか褒めタイムが始めったよ、、、」
わちゃわちゃと3人の仲のいいじゃれ合いを私は眺める。
「、、、、、、」
眺めながら、英子の言葉を反芻した。
『風奏も、ピアノめちゃくちゃ弾けるのに、勉強ができないなんて、面白いわよね』
こんな私が、面白い?
いつも、天才扱いされて、距離を置かれてた、、、私が?
「、、、風奏、どうしたの?」
押し黙っている私の顔を覗き込み、英子が訊く。
「、、、あの、私が面白いって、、、」
「え?面白いは面白い、、、じゃない?風奏はとっても素直で優しくて、面白い。昔からそうだったよ?」
「昔から?」
「え!?あ、や、違くて、、、」
私が英子の言葉に困惑していると英子も自分の言葉に焦っている。
「もう言っちゃえばいいんじゃない?英子ちゃん」
律が優しく問いかける。
「、、、鈍感すぎて俺、もう見てらんねぇ」
呆れたように千絃が言う。
「ど、どういうこと?」
私は全く意味が分からず戸惑いの声を上げる。
助けを求めたくて英子の方を向くと気まずそうに下を向く英子が写った。
「英子、、、?」
「風奏、、、。あたしたち、高校で初めて会ったんじゃないの」
意を決したように私の目に訴えかけるようにまっすぐな視線を送ってきた。
「中学1年生の時、同じクラスだったの。、、、覚えてない?」
「中学生、、、」
私が1番記憶を消したい時期。
辛かった、、、時期。
「えっと、、、ごめん、、、。中学生、か。覚えてない」
「そ、そうよね!ごめんね、突然」
私の言葉に少なからず落胆の色を見せた。
でもそれを隠そうと無理に笑顔を作っている。
目を潤ませながら笑顔を見せる英子に私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「えっと、あの」
「いいのいいの!あたしのことは気にしないで」
「英子ちゃん、、、」
律が少し怒ったように英子を見つめる。
「、、、もう!大袈裟だなぁ。っていうか、律くんもちづくんもおにぎり食べたら?お昼まだでしょ?」
無理に笑顔を作ってこの場を和ませようとする英子に、私はかける言葉を失ってしまう。
「あ、そうだ!あたし今日塾があって。もう帰らなきゃ!」
「え、英子?」
「じゃあね!」
英子は慌てたように扉から出ていった。
「英子、、、」
私は英子の出ていった扉をただ見つめるだけしかできなかった。
雨が窓に勢いよく打ちつける音だけが響いていた。
いつの間にか、雨が降っていた。
梅雨を思わせる急なにわか雨だ。



