翌朝、いつも通りに太陽が昇り、朝が来た。
「姉ちゃん!起きた?」
 という弟の声を聞き、起き上がる。
「起きたー!」
 答えながら髪を触る。
また、、、朝が来た。
いつも通りの毎日が来る。
けど、、、私はいつも通り、が変わりそうな予感がしていた。

 いつも通り学校への坂道を登っていた。
「おはよう」
 横から声が聞こえた。
横を向くと、英子が立っていた。
「あ、おはよう」
 そう返すと嬉しそうに目を細めた。
私たちは横に並び歩き始める。
「、、、」
「、、、」
 いざ、何か話そうとすると頭に何も浮かんでこない。
だって、、、友達、を作るのに、抵抗が、、、あるから。

「そうだ!そう言えばもうすぐテストよね」
 英子が口を開いた。
「テスト?」
「そう、中間考査。5月の終わりにある。そろそろ準備しないと」
「そっか、、、。勉強しないといけないよね」
「当たり前よ。風奏、準備始めてる?」
 英子はしっかりしている性格だからもう準備しているんだろうな。
と内心思いながら私は首を振る。
「そう。、、、実はあたしもまだなの」
「え?!嘘!」
 私は驚嘆の声をあげてしまった。
てっきりもう完璧なんだと思っていた。
「なめたらダメだってわかってるんだけど、つい疎かになっちゃうのよ」
「いつも、どのくらい勉強を?」
「うーん、、、1日3時間はしてるけど、まだまだ足りてない」
「すごい!3時間もしてるなら十分じゃない?」
 私は励ますつもりで明るく言った。
というか本心で十分だと思った。
「ダメよ」
 だが鋭く一言返ってきた。
「もっと勉強しなきゃ、、、ダメなの」
「そ、そうなんだ、、、」
 私が少し身を引きながら相槌を打つと、英子はまた寂しそうに笑った。
「あたしね、、、弁護士、になりたくて。そのために勉強頑張ってるの。だから、、、疎かにはできないの」
 英子は決意のこもった目で前を向いた。
まるで弁護士になるための険しい壁を見据えているようだ。

「そっか、私、、、全然勉強できてなくて」
 しなくちゃいけないというのはわかるが、どうしても後回しになる。
先生に質問などしてはいるのだが。
「私英語がからっきしだから、、、」
「なら、教えるわ!」
 いきなり英子が飛び上がらんばかりにはしゃいだ声をあげた。
「え?」
「教えるわ!あたしの勉強にもなるし、ウィンウィンじゃない?」
「ウィンウィン?」
「そうよ!」
 ものすごく嬉しそうな英子を前に断ることができなかった。
だから、明日の昼休みから、英子に勉強を教えてもらうことになった。