「まだ、間に合うよ」
ユズルは僕の背中を押すように笑いかけてくれる。
「行っておいでよ。たぶん、あそこにいるからさ」
僕は教室を出て、屋上へと走る。
知りたい。彼女の本音を。何を隠しているのかを。そんなことを考えている僕は少なからずとも彼女に惹かれているんだろう。
息が上がり、足が重い。屋上のドアは開いていた。
「っ・・・」
開いたドアから月を見上げている晴乃が見える。その姿は今にも消えそうな、儚い空気を纏っていた。
「晴乃っ」
名前を呼ぶ。だけど、彼女は振り返ってくれない。
「・・・ねぇ、私ね。由季くんに嘘をついてたんだ」
僕と目を合わすことなく、晴乃は話し続ける。だけど、その声は震えていて何かに怯えているようにも思える。
「でもね、由季くんがどうにも気になっちゃって関わっちゃったの」
その言い方だと関わる気がなかったと言っているようだ。しかも、僕との出会いを後悔しているようにも聞こえる。
「由季くんが傷つくこと、わかってたのにね」
やっと晴乃がこちらを向く。だけど、晴乃の頬には涙が伝っていて、でも笑っていた。苦しそうに悲しそうに。
「ごめんね。由季くん」
「私は、今日を含めてあと二日でこの世から消えるのに」
その『ごめん』は何?
何がごめんなんだ。
僕と海に行ったこと?
僕と学校に忍び込んだこと?
僕と関わったこと?
僕と出会ってしまったこと?
「傷つける結果にしちゃって、ごめ・・・ッ!」
気が付いたら、僕は晴乃の口を手で塞いでいた。
僕との出会いを、思い出を否定しないで。
僕は晴乃と出会って、誰かと関わるこは楽しいと気づかせてくれた。
「言わないでよ。僕との時間を否定しないで」
視界がぼやけていく。泣きそうだ。なんで、こんな時にだけ感情が動くんだよ。晴乃の前では泣きたくない。
自分が何を言ったのか気づいて、晴乃は傷ついた顔をする。
なんで、晴乃がそんな顔をするんだよ。そんな顔をする必要ないだろ。
「ごめん、ごめん」
ユズルは僕の背中を押すように笑いかけてくれる。
「行っておいでよ。たぶん、あそこにいるからさ」
僕は教室を出て、屋上へと走る。
知りたい。彼女の本音を。何を隠しているのかを。そんなことを考えている僕は少なからずとも彼女に惹かれているんだろう。
息が上がり、足が重い。屋上のドアは開いていた。
「っ・・・」
開いたドアから月を見上げている晴乃が見える。その姿は今にも消えそうな、儚い空気を纏っていた。
「晴乃っ」
名前を呼ぶ。だけど、彼女は振り返ってくれない。
「・・・ねぇ、私ね。由季くんに嘘をついてたんだ」
僕と目を合わすことなく、晴乃は話し続ける。だけど、その声は震えていて何かに怯えているようにも思える。
「でもね、由季くんがどうにも気になっちゃって関わっちゃったの」
その言い方だと関わる気がなかったと言っているようだ。しかも、僕との出会いを後悔しているようにも聞こえる。
「由季くんが傷つくこと、わかってたのにね」
やっと晴乃がこちらを向く。だけど、晴乃の頬には涙が伝っていて、でも笑っていた。苦しそうに悲しそうに。
「ごめんね。由季くん」
「私は、今日を含めてあと二日でこの世から消えるのに」
その『ごめん』は何?
何がごめんなんだ。
僕と海に行ったこと?
僕と学校に忍び込んだこと?
僕と関わったこと?
僕と出会ってしまったこと?
「傷つける結果にしちゃって、ごめ・・・ッ!」
気が付いたら、僕は晴乃の口を手で塞いでいた。
僕との出会いを、思い出を否定しないで。
僕は晴乃と出会って、誰かと関わるこは楽しいと気づかせてくれた。
「言わないでよ。僕との時間を否定しないで」
視界がぼやけていく。泣きそうだ。なんで、こんな時にだけ感情が動くんだよ。晴乃の前では泣きたくない。
自分が何を言ったのか気づいて、晴乃は傷ついた顔をする。
なんで、晴乃がそんな顔をするんだよ。そんな顔をする必要ないだろ。
「ごめん、ごめん」



