「誰だ?」
あまり見ない顔だ。どうしてこんなヤツがいるんだ?
「ん?」
少女が振り返って目が合う。数秒見つめあうが、だんだんと彼女の目が見開かれていく。僕の顔に何かついているのだろか?それとも、イケメンとか思ってるのか?
「ねぇ、君ってさ・・・」
「あ、俺のこと見えてる感じ?おお、珍しい」
彼女の言葉を遮ったのは、黒いマントを羽織った不思議な男だ。マント男の顔はよく見えないが、声がどこか弾んでいるのか気のせいだろうか。この状況のどこが面白いのだろう。そして、もう一度マントの男を見つめる。黒いマントに、『俺が見えてるのか?』という発言。
(こいつ、もしかして・・・)
「お前、死神が憑いてる。死ぬぞ」
僕は、目の前にいる見知らぬ少女にそう言っていた。こんなことを言われて驚かない人はいないだろう。
「えっ」
案の定彼女は、口をポカンと開けたまま固まっている。少しずつ後悔がフツフツを沸いてくる。どうしようかと頭の中でないはずの時計の音が聞こえてくる。その音がもっと僕をせかしてくる。ぷはっ、と誰かが噴き出す音が聞こえたと同時に、彼女が言った。
「私ね、三日後にはこの世にはいないの」
そう彼女は笑いながら、言った。普通、人は死ぬと聞いて嘆くだろう。死にたくないと醜く嘆く。そういう生き物だ。なのに目の前の彼女は笑って死ぬのだといった。
「ね?面白いでしょ?この子」
彼女の横に立っていた死神は笑いをこらえるように腹に手を添えている。
「まあ、正確には昨日言われたんだ。残り四日だって」
彼女は悲しむわけでもなく、ただ笑った。
「そうそう。言ったよ。だから、ここにいるんじゃん」
死神はやれやれと言う風に首を横へ振る。その様子からは死神だと全く気付かない。だけど、死神が纏う雰囲気が生きた人ではないと感じれる。
「まあ、そんな感じで死ぬから小説みたく青春したいなと思いましてね。君、付き合ってくれない?」
青春ね。そんなもの、僕は知らない。特に青春なんてどんなことをすればいいか知らない。だから、断ろうと思って視線を彼女へ向ける。彼女の瞳は、まっすぐ僕を見ていた。悲しいとか生きたいとかお願いだとか、そんな感情なんてなくて、ただ僕を見ていた。
「・・・わかったよ」
別に断ってもよかった。でも、彼女の瞳。まっすぐとした瞳をもっと見ていたいと思った。一回だけ青春を体験してもいいと思った。でも、このエピローグは決まっていた。
彼女は三日後にこの世から消える。
あまり見ない顔だ。どうしてこんなヤツがいるんだ?
「ん?」
少女が振り返って目が合う。数秒見つめあうが、だんだんと彼女の目が見開かれていく。僕の顔に何かついているのだろか?それとも、イケメンとか思ってるのか?
「ねぇ、君ってさ・・・」
「あ、俺のこと見えてる感じ?おお、珍しい」
彼女の言葉を遮ったのは、黒いマントを羽織った不思議な男だ。マント男の顔はよく見えないが、声がどこか弾んでいるのか気のせいだろうか。この状況のどこが面白いのだろう。そして、もう一度マントの男を見つめる。黒いマントに、『俺が見えてるのか?』という発言。
(こいつ、もしかして・・・)
「お前、死神が憑いてる。死ぬぞ」
僕は、目の前にいる見知らぬ少女にそう言っていた。こんなことを言われて驚かない人はいないだろう。
「えっ」
案の定彼女は、口をポカンと開けたまま固まっている。少しずつ後悔がフツフツを沸いてくる。どうしようかと頭の中でないはずの時計の音が聞こえてくる。その音がもっと僕をせかしてくる。ぷはっ、と誰かが噴き出す音が聞こえたと同時に、彼女が言った。
「私ね、三日後にはこの世にはいないの」
そう彼女は笑いながら、言った。普通、人は死ぬと聞いて嘆くだろう。死にたくないと醜く嘆く。そういう生き物だ。なのに目の前の彼女は笑って死ぬのだといった。
「ね?面白いでしょ?この子」
彼女の横に立っていた死神は笑いをこらえるように腹に手を添えている。
「まあ、正確には昨日言われたんだ。残り四日だって」
彼女は悲しむわけでもなく、ただ笑った。
「そうそう。言ったよ。だから、ここにいるんじゃん」
死神はやれやれと言う風に首を横へ振る。その様子からは死神だと全く気付かない。だけど、死神が纏う雰囲気が生きた人ではないと感じれる。
「まあ、そんな感じで死ぬから小説みたく青春したいなと思いましてね。君、付き合ってくれない?」
青春ね。そんなもの、僕は知らない。特に青春なんてどんなことをすればいいか知らない。だから、断ろうと思って視線を彼女へ向ける。彼女の瞳は、まっすぐ僕を見ていた。悲しいとか生きたいとかお願いだとか、そんな感情なんてなくて、ただ僕を見ていた。
「・・・わかったよ」
別に断ってもよかった。でも、彼女の瞳。まっすぐとした瞳をもっと見ていたいと思った。一回だけ青春を体験してもいいと思った。でも、このエピローグは決まっていた。
彼女は三日後にこの世から消える。



