「お前、死神が憑いてる。死ぬぞ」
 僕は、目の前にいる見知らぬ少女にそう言っていた。
 どうしてこうなったかというと、少し時間は遡る。



「なぁ、由季(ゆき)一緒にサボらねぇ?」
「は?ヤだね」
 友人である智也(ともや)の誘いを断り、教室に入ろうとする。だけど、ある女子生徒に話しかけられる。
「あの、少しいいですか?」
 その女子生徒は顔を赤らめる。その顔、雰囲気、周りの女子の目線で全てを聡る。
(今から告白されるのか・・・)
思わずため息を出るのをグッと我慢する。告白しようとしているのにため息は流石に、相手に失礼すぎる。
「何?移動しよっか」
 そう言って、誰もいない場所へ彼女をつれていく。周りにいる観衆からのどうするのだろうという期待の視線、どうせ振られるだろというわかりきっている視線、どうしてあの子がという嫉妬の視線。あれもこれも、どうでもいい。なんで、他人のことが気になるんだ。僕には理解できなかった。
 屋上へ上がる階段で足を止める。ここは、普段誰も近づこうとしない。だから、俺のお気に入りの場所だった。だけど、告白されることが増えてからという時からは、あまり好きではなくなった。理由は簡単。廊下などで告白されるよりはここでされる方がマシだ、と思って、告白されるときは相手を全員ここに連れてから、たまに僕に気がある女子生徒たちがくるようになったから。
 まあ、元は僕のミス。自分のミスは自分で尻拭いしなくてはならない。
「何?」
 後ろにいる女子生徒に声をかける。正直に言うと本当に面倒だ。さっさと終わらして、教室に戻りたい。
「あのっ、階段から落ちそうになった時に助けてもらってからずっと好きでした」
 そういえば、この前階段で落ちそうになっていた子を助けたような気がする。だけど、あれは目の前で落ちそうになっていたから助けただけであって誰に対しても同じことをする。
「できれば、付き合ってくれませんか?」
 熱が籠った目で見つめてくる。だけど、それを見てもどうも思わなかった。これが、『氷の心を持つ王子』と言われるワケなのだろう。
「ごめん。僕は好きとかわからない。だから、付き合えないしお試しでも君の望みに応えれることはない」
 それを言うと、彼女はそうですよねと力なく呟き走って去っていった。走っていく前に、彼女の目は涙が溜まっていた。この後、友達に報告してその友達から抗議が来ると思うとモチベーションが下がっていく。
授業が受けれるわけもなく、屋上の扉へを手を伸ばす。
 そこには少女と黒いマントを羽織っている人がいた。