晴乃は僕に抱き着き、泣いている。しかも、ずっと謝っている。
「いいって。もう否定しないんでしょ?」
 流石に泣かしてしまったことに、罪悪感で心がいたむ。
「うん。否定しないよ」
 やっと、笑った。さっきまで泣いていたから笑っている顔を見ると、僕まで笑顔になる。
「おー、やっと終わった?」
 ユズルは、屋上の扉に持たれながら僕らに微笑みかける。
「うん。ユズル、ありがとう」
「早いよ。あのことまだ、言ってないんでしょ?」
 ユズルがいう『あのこと』って?晴乃が言ってた『嘘』ってなんだ?
「由季。今日はここまでだ。また明日」
「由季くん、またね」
 晴乃とユズルは、屋上から出ていった。屋上には僕だけがのこされた。
「嘘・・・」
『・・・ねぇ、私ね。由季くんに嘘をついてたんだ』
 晴乃が言っていた言葉がずっと頭にこびりついて離れない。
 晴乃たちは『明日』と言っていた。なら、明日も会えるということなのだろう。
 明日、晴乃に聞こう。
 そうだ、まだ一日ある。
 そう思っていた。