「2人の時間を邪魔したら悪いからこれで失礼するね。楓くん、ゆっくりしていってね」

「はい」

部屋を出るお母さんと入れ違いに、白い猫が入ってきた。

「この猫ってもしかして、もっちー?」

「そう、だよ」

もっちーは、初めて楓くんと会うからなのか落ち着きなくキョロキョロさせている。

「ほんとお餅みたいだ」

「も、もっちーは、この家に来て、15年以上経つの。私より、2年遅く生まれたのに、猫を人間の年齢でいうと、76歳になるんだよ」

「俺たちの何倍も生きているってことか」

「もう、おばあちゃん猫なんだ」

ここ数ヶ月のもっちーは、徐々に老化が始まってきて階段の上り下りするのがやっとという感じで、駆け回ることも少なくなってきた。

猫の平均寿命は15年程度だと言われている。

でも、最近では20年以上生きる猫も少なくないらしい。