残された私は、手元のペアチケットを見つめる。
……誰と行こう。
その日、両親は仕事だ。
唯花ちゃんは彼氏さんとの約束がある。
残すは……。
「ん? どうした?」
楓くんと目が合った。
ペアチケットと楓くんを交互に見る。
どうしよう、もし断られたら……。
「なにか言いたそうだな。よし、今から小春の心読み取るから待っててな」
そう言って楓くんは私をじっと見つめてきて、思わずドキリとする。
「えーと、なになに? 星座に興味ないって?」
その言葉に、私は頭をブルブルと横に振る。
「違ったか。まぁ、小春は空とかよく見てるしそれは違うか」
よく私のこと知っている楓くん。
「じゃあ次は、俺と一緒に行くとか?」
言い当てられてびっくりしながらも、恐る恐る頷く。
「あー、これも違ったか……って、待って。違わないの⁉︎」
思わず目を見開く楓くんに、私はもう1度頷いた。
「えっ、冗談で言ったけどマジ⁉︎」
冗談……。
その言葉にしゅんと項垂れてしまうと、楓くんは慌てた様子で謝った。
「あっ、ごめんごめん! 逆に俺でいいのかなって思って。俺、星座とかあんま分かんねーし」
『それでもいいよ』
「ありがとう。その日、バイト休みにつけとくわ」
喜んでくれる楓くんに、私まで笑顔になった。


