心の中で溜まっていた感情が爆発し、持っていたバッグを勢いのまま投げ捨てると壁に当たってドサッと床に落ちた。

ニャーオ!

たまたま部屋から出てきたもっちーがその音にびっくりして威嚇の鳴き声を出した。

「小春、なにしてるの! バッグは毎日学校で使うものだから大事に扱いなさい!」

反抗の意思を示す私にお母さんはますます声を荒げる。

……もう、ここにいたくない。

バァン!

「ちょっ! 小春、どこ行くのよ⁉︎」

お母さんの呼び止めをスルーして、家を飛び出した。

本当は、こんな自分になりたくてなったわけじゃない。

話さなければいけないことぐらい、そんなの自分でも分かってる。

なのに、あんな言い方しなくてもいいじゃん!

私だって、話せない毎日はもう嫌なんだよ!

「はぁ……はぁ……」

駆け出したものの行く宛先もなく、徐々に走り疲れてきてだんだん歩みがゆっくりになる。

……もう疲れた。

学校のことも家族のこともなにもかも。

悔しいはずなのに涙1つもでない。

……消えてしまいたい。

この世界から消えたい。

そう強く願っても、この世界から消えることはできなかった。