「差別って、なかなか無くならないよな」

晴天の空に向かって、彼はぽつりと呟いた。

静かな屋上の一角。

段差に座り込んで、じっと俯いている私。

そんな私の隣には、葉山くんがいる。

「どんなに頑張っても、一部の人たちからは“障害者”って勝手に決めつけられて、挙げ句の果てにはいじめられる。本人はなんにも悪いことしてないのに。ほんと、生きづらい世の中だよな」

葉山くんが言う通り、この世界は生きづらいよ。

とくに、私みたいにいろんな障害を抱えている人にとっては。

ただただ1日1日を過ごすだけで精一杯。

空を見上げていた葉山くんは、ふと私を見てこう言った。

「なぁ、メロンパンとクリームパンどっちがいい?」

えっ……?

さっきまでの話とは一変して、そんな唐突な質問に思わずびっくりする。