「俺は、お前らとは一緒にされたくない!」

葉山くんは真剣な表情できっぱりと言葉にして、私は驚きのあまり思わず目を見開いた。

「は、葉山くん?」

「ちょっ、なに言ってんの?」

私と同じように、2人も動揺しているのが見て取れる。

「葉山くん、そんなのおかしいよ」

「おかしいのはお前らだろ!」

「「……っ」」

葉山くんに一喝され、口籠る2人。

「あいつの気持ちなに1つ考えずに、陰でひそひそ話したり、いじめたり、障害者って勝手に決めつけたり、こういうこと平気でするお前らのほうがよっぽどカッコ悪いよ」

葉山くんは私を庇ってくれた。

初めてだった。

こんな私を庇ってくれる人が現れるなんて。

「それに、あいつはわざと黙っているわけじゃないと思う。話したくても話せない。俺には、そんな風に見える」

ーー“話したくても話せない”

涙が出そうだった。

だって、今まで私がみんなにずっと誤解を解くことができなかったことを葉山くんが解いてくれたから。

「……もう、行こう」

中身が空っぽの弁当箱を葉山くんに押し付けるなり、2人はその場から離れる。

今更、私がいることを知ったのか一瞬びっくりした顔をしたが、そそくさと教室を出て行ってしまった。