家に帰るなり、課題を済ませては受験勉強に取りかかる。
気が付けば、時刻は19時半過ぎていて私は上着を羽織るなりスマホを手に取った。
今日は、7月7日。
七夕の日。
この前から、楓くんと一緒に星を眺めようと約束していたのだ。
家族に一言伝えて家を出ると、外はもう真っ暗だった。
ある場所に辿り着くまでは、空はまだ見ないと心に決めていた。
ゆっくり歩いていると……。
「小春!」
聞き覚えがある声が聞こえた。
そこには、なんと息を切らしながらも駆け寄ってくる楓くんがいた。
「な、なんで? バイト早く終わったの?」
「ううん。さっき終わった。小春に会いたくて走って来た。それに、さすがに夜道を1人で歩かせるわけには行かないだろ?」
「ふふっ。ありがとう、楓くん」
私のこと大切に思ってくれて嬉しくなる。
「行こう、小春」
楓くんは手を差し出してくれて、私はその手に自分の手を重ねた。


