それからしばらくの間、いつものように音楽を聴きながら空を見てはぼーっとしていると、気付けば昼休みが終わるまで残り10分をきっていた。
ここから教室まで最低でも3分はかかるから、そろそろ戻らないと。
スマホをポケットにしまい、ランチバッグを持って屋上を後にした。
教室へと戻る途中、廊下を歩いていると視線の先に、昨日、ひそひそ話をしていた例の女子2人組が歩いて来ているのが見えて咄嗟に端に寄った。
陰口を言うような人たちは苦手で、正直言ってあまり関わりたくない。
それなのに、すれ違った時、そのうちの1人と肩がぶつかってしまった。
「痛っ!」
その子は、大袈裟に声を張り上げた。
「ちょっと、謝りなさいよ!」
もう1人の子は、友達を庇うように私を責め立てた。
「……」
声がでない代わりに、唇をぐっと噛み締める。
……今のは違う。
ぶつかったんじゃない。
ぶつけられた。
「黙ってないでなにか言いなって!」
さらに、私を追い詰めるその子の後ろで、ぶつかった肩を摩る子は、ニヤリと不気味な表情をしたのが見えた。
……やっぱり、わざとだったんだとその表情を見て確信した。


