「……あっ」
先生は私の存在に気付いたのか言葉を漏らした。
また、傷つくようなことを言われてしまうのだろうか?
不安でいっぱいになって、緊張とそれから緘動も加わって体がガチガチになっていると……。
「これで全員揃ったな」
そう言った先生の声はとても優しくて、俯いていた顔を上げると私に笑顔を向けてくれた。
先生……。
ありがとう、先生。
それに、クラスのみんなもありがとう。
「ほらほら、みんな席につけ。ホームルーム始めるぞ〜」
集結していたみんなは先生の掛け声でばらばらに散って、それぞれ自分の席へと戻る。
さっきまであんなに緊張して体が固まっていたのに、今では緘動の症状が和らいで、自分の足で席に向かうことができた。
「それでは、ホームルームを始めます」
教壇に立って、みんなの顔を見ながら話を進める先生。
私にとって、学校は1番大嫌いな場所。
でも、今はそんなに嫌いじゃない。


