「「「星乃さん、おはよー!」」」
私のところにみんなが集まってくれた。
元気よく手を振って挨拶してくれる人や、中には『おはよう』と手話をしてくれた人もいて、驚きのあまり目を見開く。
「おはよう、星乃さん」
しかも、以前、私をいじめていた2人組の子たちまで。
こんな私をみんなは温かく迎えてくれて、嬉しくて思わず涙が出そうになる。
……まだ声を出すことが難しい。
でも、みんなに挨拶を返したい。
物凄く緊張して動作がぎこちなくなるけれど、手を必死に動かした。
『おはよう』
みんなは、一瞬驚いたもののすぐに笑顔になった。
「うん、おはよう!」
「星乃さん、今日からまたよろしくね!」
「みんな星乃さんが来るの待ってたんだ」
次々と温かい言葉をかけてくれるクラスメイトたち。
「あの、星乃さん。前に酷いことしちゃってごめんね」
「星乃さんの気持ちを考えずに酷く傷つけて、本当にごめん」
と、私に頭を下げて来たのはあの2人組。
『もう大丈夫だよ』
手話で返したけど伝わったかなと一瞬不安になっていると……。
「『ありがとう、星乃さん!』」
明るい声とともに、2人とも手話をしてくれた。
昔は、私のことあんなに嫌っていたのに、今では私のために手話を覚えてくれたこと。
周りの心境の変化に触れ、温かい気持ちでいっぱいになる。


