久しぶりに歩く通学路。
私が外に出ていない間に、収穫の時期になったのか田んぼの稲が黄金色に輝いていて、風に沿ってふさふさと揺れている。
いくつもの田んぼに織りなす畦道を楓くんと手を繋いで、というより、緘動で上手く動けない私を楓くんに軽く手を引いてもらいながら彼の隣を歩く。
「なぁ、知ってるか? 今年、席替えないんだって」
去年は、学期ごとに席替えをしていた。
でも、今年はないのか……。
「みんな先生に向かって文句言ってたけど、俺はラッキーって思ったよ」
……ラッキー?
不思議に思って、楓くんを見上げると彼と目が合って、どちらからともなく足を止めた。
「だって、ずっと小春の隣にいれるじゃん」
その言葉に、胸がとてもときめいて瞬きするのも忘れるくらい。
私、まだ……。
楓くんのことをこんなにも想っている。
不登校になる前とでは、多分、気持ちはそれ以上に膨れ上がってる。
1ヶ月も楓くんと会っていなかったから、その分が、今、一気にきてる。


