私の部屋の前で立ち止まるなり、扉をドンドンと叩かれた。

これは楓くんじゃない!

「星乃! いつまで学校に行かないつもりでいるんだ⁉︎」

この声、難波先生だ。

そう分かった瞬間、体全体の血の気がさっと引いていく。

扉の向こう側から、ドアノブをガチャガチャとされた。

鍵はかけているのだけれど、先生が中に入ってくるのではないかという不安が一気に襲いかかってくる。

毛布に包まって耳を塞いでも、先生の怒鳴り声は大きい。

「不登校なんて、そんなの現実から逃げているだけだ! 今すぐ部屋から出て来なさい!」

やめて。

それ以上、もうなにも言わないで。

恐怖のあまり体が小刻みに震える。

……楓くん、助けて。

自分ではどうすることもできずに、心の中で必死に楓くんを求める。

バイトしていて来るはずがないのに、何度も何度も。