【最近、学校全然楽しくない】
……楓くん。
続いて、またメッセージが送られてきた。
【やっぱ、小春がいないと無理】
その言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。
【小春に会いたい】
……そんなこと言わないでよ。
私だって、楓くんに会いたいに決まってる。
でも、楓くんに会ったところで迷惑かけてしまうのは目に見えている。
私には、もう言葉を伝える手段がどれもできなくなってしまったから。
楓くんと一緒に過ごした日々が、なんだか遠い昔のように思える。
あの頃、楓くんから教えてもらった手話を通して、いろんな人と会話ができるようになった。
楓くんや唯花ちゃん、おばさんにおじさんに凛ちゃん。
手話をしていくうちに、緘動が徐々に改善していって、人と会話をする楽しさを知った。
それに、楓くんと声で話せるようになって、唯花ちゃんにも話すことができるようになって、もう少し頑張ってみようと思った瞬間、この有様。
私は、なんにも成長できていなかった。
話せない動けない、またゼロからのやり直り。
先生の言葉に傷付いて、今もこんなに引き摺っている。
ーー『いつか学校でも楓くんと話せるようになりたい』
その目標は粉々に打ち砕けた。
楓くんは『気長に待っている』と言ってくれたけど、期待に応えるどころか、裏切ってしまう形になってしまった。
もう、なにもかもダメな自分に嫌気がさしてくる。


