今まで、あんなに手話を使ったり声に出して楓くんに伝えることできていたのに。

なんで、今、できないの?

さらに不安になっていると、あることを思い出した。

……体が動かないこの感じ、知っている。

緘動の症状だ。

久しぶりにでた症状で、すぐに分からなかった。

これじゃあ、楓くんになにも伝えられない。

また話せない動けない私に逆戻りだ。

「小春?」

不思議に思った楓くんが私の肩に手を伸ばそうとした。

なのに、その瞬間、私はビクッとしてしまった。

「ご、ごめん……」

申し訳なさそうに謝る楓くん。

……そんな顔しないでよ。

でも、そうさせてしまっているのは紛れもなく私で、両親だけじゃなく楓くんにまで迷惑かけてしまっているんだ。