「というか、普段、俺の担当じゃないし」

「じゃあ、誰がやってるの?」

「いつもは店長とかラテアートができる人がやってる。それで、今日、店長いないし、さっき、できる人に教えてもらって初めてした」

「それにしては、めっちゃ上手いじゃん」

「それはどうも」

私のために楓くんがラテアートをしてくれたことを知って、とても嬉しい気持ちになる。

『楓くん、ありがとう』

手話でお礼を伝えると、「どういたしまして」と楓くんは表情を緩めた。

「今、デザート作っているからもうちょっと待ってて」と私たちに伝えて、また厨房へと戻って行ってしまった。

「小春ちゃん、葉山くんにラテアートしてもらえて良かったね!」

『うん! 嬉しい!』

唯花ちゃんの言葉に大きく頷いて、手話で返した。

さっきまで心の中にあったモヤモヤはいつの間にか消えていて、楓くんの優しさに触れ、ニコちゃんマークのラテアートをもう1度見てはまた笑みが溢れる。

バッグからスマホを取り出してパシャリと写真を撮った。

可愛いすぎて飲むのがもったいないよ。

楓くんのおかげで元気がでたよ。