「着いた!」
電車から降りて、徒歩で5分もしないうちに見えたのは国の重要文化財に指定されている眼鏡橋。
「確か、この辺だった気が……あった!」
石橋近くの護岸にハートストーンを見つけては彼とツーショットを撮った。
その後も、食べることが大好きな私たちは近くで販売している青い屋台がトレードマークである薔薇の形をしたちりんちりんアイスを味わった。
先ほどまで中華街でいろんな物を食べてお腹いっぱいだったけれど、デザートは別腹。
彼と一緒にお出かけして、美味しい物をたくさん食べることができてとても充実した1日。
時間が経つのがあっという間だ。
「ねぇ、碧(あお)くん。あと1ヶ所だけ行きたい場所があるの。まだ時間大丈夫?」
帰り際、隣を歩いていた彼にそう伝えると繋いでいる手にきゅっと力が込められた。
「全然大丈夫! むしろ、まだ結芽(ゆめ)と一緒にいれるじゃん」
爽やかな笑顔とともに可愛いことを言って私の心をキュンとさせてくれるのは、私と同じ今日から高2になる自慢の彼氏だ。
優しい風が吹くたびにさらりと靡くマッシュヘア。
私と頭1つ分も違う高身長な彼は、輪郭が丸みを帯びていて、お顔のパーツがそれぞれ小さくて、かっこいいというより癒し系男子。
私の友達から「ワンコくん」とあだ名をつけられるほど。
他の男子にはない親しみやすさがあり、反抗期なんてものはなかったんじゃないのではと思ってしまうほど穏やかで温厚な人柄。
相手のことを気遣う優しい一面を見せる中、時にリーダーシップを発揮するなど不意に見せる男らしさを感じてはそのギャップが堪らない。
高校入学当初は席も遠くてほとんど話したことなったけど、宿泊訓練で同じ班になってからよく喋るようになり、笑いのツボが一緒だったり、食べることが好きだったりと、似た物同士で自然と付き合うようになった。
彼と一緒にいるのが楽しくて、「また同じクラスになれたらいいね」と修了式の日にはウルっときたにも関わらず、春休みの期間中も彼と過ごすくらいとても仲が良い。
今もこうして碧くんと楽しく山を登っている。


