私は、あと3ヶ月後にはこの世界から消えてしまう。

だから、私がいなくなっても君があまり落ち込まないようにしたかった。

そこで考えたのが嘘をつくことだった。

4月1日。

その日は、どんな嘘をついても許される日だから。

だから、大好きな君に嘘をつこうと決めていた。

たとえ質問責めされてもすぐに答えられるように、嘘をつく内容を事細かく考え、ぬいぐるみ相手に何度も練習した。

嘘だと見破られないように、あたかも本当のことのように信じ込ませるために。

どんな時でも優しくて純粋な心を持っていて、常に私のこと思ってくれる彼に別れを告げるのは心がとても痛かった。

本当はずっと一緒にいたいけれど、私に残された時間はあまりない。

私の病気ははっきりとした原因がなく治療法もまだ分かっていないごく稀な病気で、普段は薬を飲んでなんとかその場凌ぎで、過度な運動しない限り学校に行くことができていた。

先月辺りまで、薬を飲んでいれば日常生活にあまり支障がなかった。

でも、最近では薬を飲んでもあまり効かなくなってしまった。

先日、病院に行くと病気が悪化していることが分かり、ついに余命宣告を受けた。

すぐに入院が必要だとも言われたが、あと3日だけ待ってほしいと伝えた。

心の準備と碧くんと最後の思い出を作る期間。

そして、碧くんにさよならを言うため。

正直、碧くんに本当のこと打ち明けるべきか迷った。

半年前に病気になったことは碧くんにはずっと隠していて、食事の後にトイレに行くフリをしてこっそり薬を飲んだり、通院のため学校を休んだ時だってただの風邪だと言ったり、発作を起こした時だって喘息だと誤魔化したこともあった。

碧くんはピュアだから私のこと疑うどころか、すぐに信じては心配の眼差しで私を見る。

嘘をつき続けることはとても心苦しいが、碧くんはなにも知らないでいてほしい。

碧くんの笑顔を壊しても、碧くんの未来までは奪いたくない。