だったらどうやって詫びればいいのだろう?
だったら、「すみません」
ならいいんだろうか。

「謝るのは本当に悪いことをしたときだけにしろ。
申し訳ありませんの大安売りをするな、価値が下がる」

再び旦那様がため息をつく。

……え、謝罪の言葉に価値なんてあるの?

と、疑問だった。

夕餉はもちろん、洋食だった。
フォークとナイフの使い方もだいぶ、慣れてきた。
おかげで料理を味わえる余裕も出てきている。

「この、ポタージュ?
美味しいです」

「そうか。
なら、また作らせよう」

にっこりと旦那様が微笑む。
彼の西洋好きは幕末からなのらしい。
どんどん入ってくる西洋文化が面白くていろいろ取り入れたそうだ。
その熱はいまだ冷めやらぬらしいが、幕末といえばまだ父が物心つくかつかぬかの頃。
ずいぶん長く、熱中しているようだ。

「では、いってくる」

「いってらっしゃいませ、旦那様」

夕餉のあとは迎えに来た菰野さんとまた出ていく。
例の、人攫い探しだ。
大怪我を負って動けない今ならきっと捕まえられると彼は躍起になっている。