「ふぇっ?」

顔をのぞき込んだ旦那様に鼻を摘ままれ、変な声が漏れた。
私を促し、ソファーに座る。

「喰ったりはしないが、補充させてくれ」

「補充、ですか?」

なにをするのかわからなくて、首が斜めに傾く。

「そうだ。
あの姿はなにかと体力を失うのだ。
だから、補充させてくれ」

「いい、ですけど……?」

旦那様に食べられてもいいと思ったくらいだ、彼の役に立てるならなんだってしていい。

「じゃあ」

彼の手が私の後ろ頭に回る。
なにをするのだろうとぽけっと見ていたら旦那様の顔が傾きながら近づいてきて、――唇が重なった。
それだけでも驚きなのに。

「ん……!」

旦那様の舌が強引に唇をこじ開け、私の口腔(なか)へと侵入してくる。
その衝撃は大きく、反射的に離れようとしたけれどがっつり後ろ頭を掴まれていて無理だった。
旦那様が私の舌を弄び、くちゅりくちゅりと卑猥な水音が頭の中にこだまする。
ご無体なことをされているはずなのに、それこそ先ほどの旦那様のように酒に酔ったかのごとくぼぅとしてきた。
最後にわざとらしく、ずっと音を立てて私の唾液を吸い上げて旦那様が離れる。