菰野さんはいつものように呆れ気味だけれど、ハニィムーンってなんなんだろう……?
家に帰ってきてリビングでふたりきりになった途端、旦那様は後ろから崩れかかるように私に抱きついてきた。
「……疲れた」
「えっ、あっ、旦那、様?」
女性に抱きつくなんてふしだらだが、もしかしたら私は女性の範疇に入っていないのかもしれない。
それにしてももたれかかるようにしている旦那様が重くて、一歩も動けなかった。
「涼音はいい匂いがするな……」
すんと、旦那様が私のうなじのにおいを嗅ぐ。
「花の蜜より甘い匂いだ。
最高の美酒にも劣らない。
酔ってしまいそうだ」
「ひっ」
後ろ首を旦那様から舐め上げられ、短く悲鳴が漏れた。
「ああ。
喰ってしまいたい……」
彼の声は酒に酩酊しているようで、本当に食べられてしまう気がした。
でも、それでもかまわない。
昨日から旦那様は私に、天国にいるようないい思いばかりさせてくれた。
「……いい、ですよ」
ゆっくりと旦那様の頭が上がる。
「私を、食べても」
覚悟を決め、目を閉じてそのときを待つ。
――しかし。
「やつがれは涼音を喰ったりしない」
家に帰ってきてリビングでふたりきりになった途端、旦那様は後ろから崩れかかるように私に抱きついてきた。
「……疲れた」
「えっ、あっ、旦那、様?」
女性に抱きつくなんてふしだらだが、もしかしたら私は女性の範疇に入っていないのかもしれない。
それにしてももたれかかるようにしている旦那様が重くて、一歩も動けなかった。
「涼音はいい匂いがするな……」
すんと、旦那様が私のうなじのにおいを嗅ぐ。
「花の蜜より甘い匂いだ。
最高の美酒にも劣らない。
酔ってしまいそうだ」
「ひっ」
後ろ首を旦那様から舐め上げられ、短く悲鳴が漏れた。
「ああ。
喰ってしまいたい……」
彼の声は酒に酩酊しているようで、本当に食べられてしまう気がした。
でも、それでもかまわない。
昨日から旦那様は私に、天国にいるようないい思いばかりさせてくれた。
「……いい、ですよ」
ゆっくりと旦那様の頭が上がる。
「私を、食べても」
覚悟を決め、目を閉じてそのときを待つ。
――しかし。
「やつがれは涼音を喰ったりしない」



