ヒステリックな紫乃の声が聞こえてきて、びくりと庭を掃く手が止まった。
「もっと最先端の、お洒落なものはないの!?」
彼女の無理難題に女中たちが右往左往している気配がする。
その緊張感は私にまで伝わってきた。
「そうだわ!
このあいだ、『五桐百貨店』で見た、あの髪飾りがいいわ!
すぐに取り寄せてちょうだい」
紫乃はまるで隣の部屋にでも取りに行かせる感じだが、ここから五桐百貨店までどんなに急いでも三十分はかかる。
しかし日はすでに傾きはじめており、閉店時間までいくらもない。
「紫乃お嬢様。
別のもので勘弁してもらえませんか」
「ダメよ、啓輔様には気に入っていただいて、蒿里の家をさらに引き立てていただかないといけないのだから」
女中になだめられても紫乃は聞く耳持たずだ。
啓輔とは公爵である三鷹家の嫡男で、伯爵の父よりも立場が上。
紫乃なりに家のことを真剣に考えているのか――それとも。
啓輔様が世を騒がせるほどの美男子なのかは私にはわからない。
「すぐに使いを出して。
そうだわ、お姉さまに行ってもらいましょう。
お姉さまー」
「はい、ただいま!」
「もっと最先端の、お洒落なものはないの!?」
彼女の無理難題に女中たちが右往左往している気配がする。
その緊張感は私にまで伝わってきた。
「そうだわ!
このあいだ、『五桐百貨店』で見た、あの髪飾りがいいわ!
すぐに取り寄せてちょうだい」
紫乃はまるで隣の部屋にでも取りに行かせる感じだが、ここから五桐百貨店までどんなに急いでも三十分はかかる。
しかし日はすでに傾きはじめており、閉店時間までいくらもない。
「紫乃お嬢様。
別のもので勘弁してもらえませんか」
「ダメよ、啓輔様には気に入っていただいて、蒿里の家をさらに引き立てていただかないといけないのだから」
女中になだめられても紫乃は聞く耳持たずだ。
啓輔とは公爵である三鷹家の嫡男で、伯爵の父よりも立場が上。
紫乃なりに家のことを真剣に考えているのか――それとも。
啓輔様が世を騒がせるほどの美男子なのかは私にはわからない。
「すぐに使いを出して。
そうだわ、お姉さまに行ってもらいましょう。
お姉さまー」
「はい、ただいま!」



