幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「そうですよ。
それに、涼音さんの着物の準備ができるまでは綱木長官に会わせないなんてこの人、言うんですよ。
そんなわけでさっさと、着物を作ってきてください」

今度はがしっと菰野さんから両手で肩を掴まれた。
その目は頼むから素直に着物を作ってこいと命令していた。

「……わ、わかり、ました。
では、よろしくお願い、します」

「うん」

私の返事を聞いて旦那様……だけでなく、他の三人も満足げに頷く。
私としては新しい着物など分不相応だと思うが、菰野さんが困っているみたいなので従おうと決めた。

「それにしても涼音さまのお着物選びなんて、お供したいですわ」

田沢さんが目をキラキラとさせて旦那様に一歩、詰め寄ったものの。

「田沢さん。
これは旦那様と涼音さまのおデエトなんだから、邪魔してはいけませんわ」

「まあ……!」

船津さんにたしなめられ、田沢さんがみるみる顔を赤らめていく。

「旦那さまたちのデエトを邪魔するなんてダメですわ。
おふたりで行ってきてくださいませ」

「うん、わかった」

旦那様はさらりと流したが、今から私はデエトに行くの……?