幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「菰野さま。
マシュマロあるんですよ。
召し上がりますか」

「あー、もー、僕にかまうな!」

……訂正します。
言い争っているのではなく、どうも一方的に可愛がられているようだ。

旦那さまに支えられ、一緒に玄関ホールへと移動する。

「おい!」

旦那様の声で船津さんと田沢さん、菰野さんの三人の視線がこちらを向く。
菰野さんはあからさまにほっとした顔をしていた。

「涼音を着替えさせろ。
この格好じゃ外に連れ出せん」

「えー」

旦那様に命じられ船津さんと田沢さんは嫌そうにしているが、そんな態度を取っていいんだろうか。
こんな反抗的な態度を取ったら普通、殴られても仕方がない。

「あ、あの」

ふたりと旦那様のあいだをおろおろとする。
それに私は別に、この格好で外出でもかまわない。
ただ、ブーツで歩けるかだけは自信がないが。

「やつがれだって今の涼音が最高に可愛いのはわかっている」

「だったら」

期待を込めてふたりが旦那様を見上げたが。

「しかし、この格好で外に出したらうちのメイドと間違われるだろうが」

それを聞いてふたりはなにかに気づいたのか、はっとした顔になった。