幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

ソファーから立ち上がったものの足がぐらぐらして、こけそうになった。

「私の肩を支えにしてください」

「……すみません」

申し訳ないがそうしないと歩けないので、肩を借りてそろりと歩く。
そういえば紫乃をはじめ女学校の生徒でブーツを履いている子がいるが、よくこれで歩けるなと感心する。

昼餉はまた洋食なのかと恐れていたが、あのたくさんのフォークとナイフはなく、スプーン一本だった。
サンドイッチとスープなので、これだけでいいらしい。
おかげで気楽に食べられた。

昼餉のあとも部屋に戻り、ソファーに座ってまんじりともせず過ごす。

「涼音さまー、お茶でも淹れましょうか」

少しして田沢さんが声をかけてくれたが、ソファーの上で硬直している私を見て、怪訝そうだ。

「あの、お茶は大丈夫、……です」

私ごときに手を煩わせるなんて申し訳ない。
それにまた、あの高級なお茶を淹れられても困る。

「そうですか?
というか、じっと座ってなにをなさっているんですか」

尋ねられても、ただ座っていますなどと答えられない。

「もしかして、お暇ですか」

「えっと、あの、その」