幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

などと彼女たちは話していたが、まだ夢見心地の私にはどうでもよかった。

最後にフリルのついた白エプロンを着けて出来上がり……なのかと思ったら、ブーツを履かされた。
初めて履く西洋の履き物は足が窮屈で困惑した。

「大丈夫ですよ、すぐに慣れますって」

「まー、私たちも慣れるまでは大変だったですが」

よっぽど私が情けない顔をしていたのか、ふたりがおかしそうにころころと笑う。
こんなもの、本当に慣れるんだろうか。
それ以上に一歩も歩ける気がしない。

「髪はどうするんですか?」

「結ってキャップをかぶせましょう」

船津さんの手が小瓶を取り、いい匂いがした。

「ヘアオイルです。
涼音さまの髪、痛んでますからね。
これで少しは綺麗になるといいんですが」

私に能力がないとわかってから一度も手入れなどされたことのない髪に、油が塗り込まれていく。
先ほどまであまりの気持ちよさにぼーっとしていたが、過分な扱いに段々不安になってきた。

船津さんの手が私の髪を結っていく。
そのあいだに今度は、違う小瓶の中身を田沢さんが私の顔につけた。