「凄い、全部正解だ」

「蒿里家の娘だもの、これくらいできて当然よ」

父と義母は大喜びし、紫乃は得意満面だ。
その隣で私はひとり、心細い思いをしていた。

……大丈夫、落ち着いてやればできる。

そう言い聞かせ、同じように目の前に伏せて置かれたカードを見つめる。
しかし、いくら見つめたところでなにも見えてこない。

「どうした?」

いつまでもなにも言わない私に父が怪訝そうに聞いてくる。

「まさか、見えないなんてないですよね?
お姉さま」

先にすべてを当てた妹は完全に私を見下していた。
悔しくて俯いて唇を噛む。
必死に黒く塗られた紙のその向こうを見ようと見つめた。
けれど、やはり少しもわからない。

「早くしないか」

とうとう、父がしびれを切らしはじめる。
このまま言わなければわからないのかと失望されるだけだが、なにか言えば万にひとつでも当たってこの場を取り繕えるかもしれない。
そう腹を括り、震える唇を開く。

「鶴と、猪と、……蝶、です」

私の答えを聞いて父が頷き、順に女中がカードを捲っていく。

最初は……鳳凰。

「はっずれー」

嬉しそうに紫乃がけたけたと笑う。