幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「きっと今日のこれは全部夢、夢だから」

自分にそう言い聞かせ、ベッドに潜り込んで目を閉じた……が。

「……眠れない」

普段と変わらず朝は早かったし、いつもなら布団に入れば気絶するように眠りに落ちているはずなのだ。
なのに今日はなかなか寝付けなくて、納戸も寝返りを打っていた。

「ううーっ」

いきなり別世界に連れてこられて、興奮しているから?
それもあるが、しばらくしてもっと別の原因に気づいた。
少し考えて、ベッドを下りる。
さらに掛け布団を剥ぎ、床の上でくるまった。

「うん」

これなら、板間の上に直に引いていた薄っぺらい布団の感触に近い。
私にとってふかふかの柔らかい布団は上等すぎて、寝心地が悪かった。
目を閉じると今度こそ、眠気が襲ってくる。
目が覚めたら……そうだな。
願わくは、この夢が続いていますように。