「そうだ。
もうあんなところへ迷い込めないように、まじないをかけてやろう」
旦那様が何事か唱える。
口先だけで小さく呟くそうなそれは、なんと言っているのか私には聞き取れなかった。
そのまま顔が次第に近づいてきて――唇が、重なった。
なにが起きているのかわからず、目を大きく見張る。
「やはり、涼音はうまいなー」
私の唇が触れた自身の唇を旦那様はぺろりと舐めた。
それを見て、一気に顔が熱を持っていく。
「な、な、な、なにを」
「なにって、まじないをかけただけだが?
唱えた呪文を唇で封じ込めたのだ」
目を白黒させている私を、旦那様はにやにや笑って愉しそうに見ている。
「で、でも、接吻などと破廉恥です……!」
「破廉恥って、やつがれたちはもう、夫婦なのだが?」
旦那様の手が私の顎にかかり、無理矢理視線をあわせさせる。
すーっと眩しそうに目が細くなり、それはまるで私を愛しんでいるように見えた。
「きゅ」
「きゅ?」
「きゅーっ」
おかげでいっぱいいっぱいになった私は、くたくたと旦那様の腕の中に崩れ落ちていた。
気がついたときには旦那様を膝枕にしていた。
もうあんなところへ迷い込めないように、まじないをかけてやろう」
旦那様が何事か唱える。
口先だけで小さく呟くそうなそれは、なんと言っているのか私には聞き取れなかった。
そのまま顔が次第に近づいてきて――唇が、重なった。
なにが起きているのかわからず、目を大きく見張る。
「やはり、涼音はうまいなー」
私の唇が触れた自身の唇を旦那様はぺろりと舐めた。
それを見て、一気に顔が熱を持っていく。
「な、な、な、なにを」
「なにって、まじないをかけただけだが?
唱えた呪文を唇で封じ込めたのだ」
目を白黒させている私を、旦那様はにやにや笑って愉しそうに見ている。
「で、でも、接吻などと破廉恥です……!」
「破廉恥って、やつがれたちはもう、夫婦なのだが?」
旦那様の手が私の顎にかかり、無理矢理視線をあわせさせる。
すーっと眩しそうに目が細くなり、それはまるで私を愛しんでいるように見えた。
「きゅ」
「きゅ?」
「きゅーっ」
おかげでいっぱいいっぱいになった私は、くたくたと旦那様の腕の中に崩れ落ちていた。
気がついたときには旦那様を膝枕にしていた。



