「……さむ」
裏庭を掃きながら、息を吐きかけて手を擦りあわせる。
空は分厚い雲で覆われ、今にも雪が降り出しそうだ。
じっと空を見上げていたところで掃除は終わらないので、再開する。
木々はすっかり葉を落とし、色のない世界はまるで、私の心のようだった。
名門蒿里家に嫁いだ母が死んだのは、私が五つのときだ。
歴代一、二位を争う先読みの異能があった母は火を操る異能の家系、蒿里家の次期当主だった父と結婚した。
いわゆる政略結婚というものだ。
別にこの世界では珍しくもない。
ただ――父には以前より、好いた女性がいたのだ。
母と結婚後も父はその女性の元に通い続けた。
母の死後はその女性と結婚したわけだが、そのときには私よりも生まれが数ヶ月遅いだけの妹がいた。
それだけならまだよかったのかもしれない。
父が再婚してしばらくは邪険にされながらもまだ、蒿里家の娘として扱ってもらえていた。
しかし、数えで七つになり。
「花、蝶、鹿」
妹の紫乃が目の前に置かれたカードを指していく。
全部終わり、控えていた女中が指された順番にカードを捲っていった。
紫乃が言ったとおりの柄が現れる。
裏庭を掃きながら、息を吐きかけて手を擦りあわせる。
空は分厚い雲で覆われ、今にも雪が降り出しそうだ。
じっと空を見上げていたところで掃除は終わらないので、再開する。
木々はすっかり葉を落とし、色のない世界はまるで、私の心のようだった。
名門蒿里家に嫁いだ母が死んだのは、私が五つのときだ。
歴代一、二位を争う先読みの異能があった母は火を操る異能の家系、蒿里家の次期当主だった父と結婚した。
いわゆる政略結婚というものだ。
別にこの世界では珍しくもない。
ただ――父には以前より、好いた女性がいたのだ。
母と結婚後も父はその女性の元に通い続けた。
母の死後はその女性と結婚したわけだが、そのときには私よりも生まれが数ヶ月遅いだけの妹がいた。
それだけならまだよかったのかもしれない。
父が再婚してしばらくは邪険にされながらもまだ、蒿里家の娘として扱ってもらえていた。
しかし、数えで七つになり。
「花、蝶、鹿」
妹の紫乃が目の前に置かれたカードを指していく。
全部終わり、控えていた女中が指された順番にカードを捲っていった。
紫乃が言ったとおりの柄が現れる。



