しかもその額の右端には、角が生えていた。
あきらかに人間ではない、――異形だ。

「すみません、すみません。
謝りますから、食べないで……」

あきらかに人ではないそれにさらに怯え、身体を小さく丸める。

「はぁっ。
やつがれはお前を喰ったりしない。
……しかし」

異形が顔を近づけてきて、なにをするのかと目で追う。
それはすん、と私の耳もとのにおいを嗅いだ。

「お前、いい匂いがするな」

そのうえ異形は私の首筋へと噛みついた。

「ひ、ひぃーっ!」

あまりの恐怖で私はとうとう、意識を失った。