幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

旦那様も私のものに。
これ以上ないほど幸せで、溢れた気持ちが涙となって頬を転がり落ちていった。

「まあ。
愛のベーゼですわ」

「素敵ですわ、素敵ですわ」

船津さんと田沢さんの声が聞こえてきて現実に戻り、顔から火が噴く思いがした。

簡単なお式のあとは写真を撮影してもらった。

「はーい、では撮影しまーす!」

祭壇を片付け、椅子を置いて撮影が始まる。

「今はいいな、いつまでもこうやって美しい涼音の姿を残せる」

旦那様はとても嬉しそうだが、そうか、昔は写真なんてなかったんだ。

ついでにいろいろ撮ってもらう。

「私たちまで恐縮ですわ」

「恐縮ですわ」

などと言いながらも、船津さんと田沢さんのふたりで撮ってもらって嬉しそうだ。

「そうですわ。
菰野さまもご一緒にいかがですか」

「そうですわ、そうですわ。
旦那様、よろしいですか」

「ああ、もちろんだ」

苦笑いで旦那様が頷く。

「えっ、勘弁してくださいよ!」

「そう言わず、なあ」

菰野さんは嫌がったが、有無を言わさずふたりのあいだに旦那様が彼を立たせた。
嬉しそうにふたりが両側から菰野さんの腕を取る。