「言い忘れてました。
あんたは気持ち悪い顔でへらへらして、笑ってる涼音さんの隣に立ってるのがお似合いなんですよ。
だから、二度と、たとえ綱木長官の命令でも涼音さんをつらい目に遭わせるな!
いいな!
じゃあ!」
顔を真っ赤に染めて喚くように言い放ち、菰野さんは勢いよく出ていった。
「なんだあれは?」
旦那様は首を捻っている。
「旦那様に幸せになってほしいって言ってたんですよ」
たぶん、そういう意味なんだと思う。
菰野さんはきっと、旦那様が抱えているものを知っている。
だからこそ、私の隣で幸せそうに笑っているのがいいのだと言ってくれた気がした。
それからすぐに、桜の時期がやってきた。
「綺麗だ……」
白無垢姿の私を見て、旦那様がうっとりと目を細める。
「その。
旦那様も素敵……です」
今日の旦那様は武官の正装だ。
「こういう堅苦しいのはあまり好きではないのだがな。
涼音が正装なのにやつがれが普段の軍服やスーツでは釣り合いがとれん」
旦那様が苦笑いし、私も苦笑いしていた。
祝言といっても誰か参列者がいるわけではない。
この頃は神前で挙げるのが流行らしいが、鬼である旦那様は神社には入れない。
そこで綱木長官が客人用の別宅を貸してくださった。
あんたは気持ち悪い顔でへらへらして、笑ってる涼音さんの隣に立ってるのがお似合いなんですよ。
だから、二度と、たとえ綱木長官の命令でも涼音さんをつらい目に遭わせるな!
いいな!
じゃあ!」
顔を真っ赤に染めて喚くように言い放ち、菰野さんは勢いよく出ていった。
「なんだあれは?」
旦那様は首を捻っている。
「旦那様に幸せになってほしいって言ってたんですよ」
たぶん、そういう意味なんだと思う。
菰野さんはきっと、旦那様が抱えているものを知っている。
だからこそ、私の隣で幸せそうに笑っているのがいいのだと言ってくれた気がした。
それからすぐに、桜の時期がやってきた。
「綺麗だ……」
白無垢姿の私を見て、旦那様がうっとりと目を細める。
「その。
旦那様も素敵……です」
今日の旦那様は武官の正装だ。
「こういう堅苦しいのはあまり好きではないのだがな。
涼音が正装なのにやつがれが普段の軍服やスーツでは釣り合いがとれん」
旦那様が苦笑いし、私も苦笑いしていた。
祝言といっても誰か参列者がいるわけではない。
この頃は神前で挙げるのが流行らしいが、鬼である旦那様は神社には入れない。
そこで綱木長官が客人用の別宅を貸してくださった。



