顔真っ赤にし菰野さんは旦那様を引き剥がそうとしている。
が、旦那様は力一杯、菰野さんを抱きしめていて、そろそろ彼の身体が心配になってきた。
「旦那様」
「ん?
おお、すまぬ」
控えめに声をかけると旦那様は少し冷静になったのか、菰野さんを離した。
菰野さんはむせ込んでいるが大丈夫だろうか。
「菰野。
お前の気持ち、しかと受け取った。
次からはお前にも相談する。
……ただ」
旦那様が思い詰めたように言葉を切り、菰野さんの喉がごくりと鳴った。
「公通の命令は生半可な気持ちでは心が折れる。
それでもいいのか」
しばらく旦那様の顔をじっと見つめたあと、菰野さんが気持ちを決めたかのごとく口を開く。
「望むところです。
言ったでしょう、あんたとならどんなつらいことも乗り越えられる、って」
「そうであったな」
旦那様が笑い、ふたりの信頼関係が少しうらやましかった。
今度こそ帰ろうと玄関の扉を菰野さんは開けかけたが、なにかを思い出したかのように戻ってきた。
が、旦那様は力一杯、菰野さんを抱きしめていて、そろそろ彼の身体が心配になってきた。
「旦那様」
「ん?
おお、すまぬ」
控えめに声をかけると旦那様は少し冷静になったのか、菰野さんを離した。
菰野さんはむせ込んでいるが大丈夫だろうか。
「菰野。
お前の気持ち、しかと受け取った。
次からはお前にも相談する。
……ただ」
旦那様が思い詰めたように言葉を切り、菰野さんの喉がごくりと鳴った。
「公通の命令は生半可な気持ちでは心が折れる。
それでもいいのか」
しばらく旦那様の顔をじっと見つめたあと、菰野さんが気持ちを決めたかのごとく口を開く。
「望むところです。
言ったでしょう、あんたとならどんなつらいことも乗り越えられる、って」
「そうであったな」
旦那様が笑い、ふたりの信頼関係が少しうらやましかった。
今度こそ帰ろうと玄関の扉を菰野さんは開けかけたが、なにかを思い出したかのように戻ってきた。



