幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「ああ、気づいていましたとも!
僕はね、あんたがなにも言ってくれないのが嫌なんですよ。
わかってますよ、あんたなりに僕を守ろうとしてくれてるんだって。
でも僕は、あんたの相棒なんだ!」

「お、おう……」

びしっと鼻先に菰野さんから人差し指を突きつけられ、旦那様は降参だと両手を上げた。
それでも彼の話は終わらない。

「そんなに僕は頼りないですか?
そりゃ、千年以上生きてて鬼のあんたからすりゃ、僕なんてひよこも同然ですけどね!
それでも僕だってやれはできるんです。
つらいこともあんたとなら乗り越えられるし、あんたを支えたいんです。
だから。
次からは僕を、仲間はずれにするな!」

再び、びしっと菰野さんは旦那様の鼻先に指先を突きつけ、じっと彼を見つめた。
その目には強い意志が込められている。
そんな目に見つめられ、旦那様の目がみるみる潤んでいく。

「菰野ー」

「ぐえっ」

旦那様に勢いよく抱きつかれ、菰野さんはカエルが挽き潰されるかのような声を出した。

「お前、そんなにやつがれのことを思っていてくれたのか!
しかも、相棒などと。
感動したぞ!」

「ええいっ、鬱陶しい!
離せ!」