適当なカードを指さす。
紫乃がそれを裏返し、出てきた絵は鎧姿の骸骨が馬に乗っているものだった。

「死に神の正位置ね」

「死に神……」

それはいかにも私の行く末を暗示しているように思える。

「そう。
お姉さま、死ぬんじゃなーい?」

不吉な予言をしているのに、紫乃は嬉しそうだ。

「もっと詳しく見てあげる。
手、貸して」

「……はい」

私がいくらも手を出さないうちに、紫乃は強引に掴んだ。

「きったない手ねー」

私の手を見て、彼女が顔をしかめる。
あかぎれができしもやけで腫れている手は、白魚のような紫乃の手とは比べものにもならないくらい醜く、引っ込めたくなった。
けれど紫乃がそうさせないように力を込めて握っていて、できなかった。

私の手を紫乃の両手が包み込む。
こうやってその人の先を読むのだ。

「……見えたわ」

まぶたを閉じたまま紫乃は今、自分に見えている未来の光景を語りはじめた。

「白髪で片角の鬼の手が、お姉さまの胸を貫いてる。
お姉さまは今と変わりないように見えるし、きっとそう遠くない未来ね。
雪が積もってるし、季節は冬かしら?」