「……お命、ちょうだいいたします」
その覚悟だと旦那様の身体に殺気が満ち、一触即発の空気となる。
「どうして旦那様に私を殺すように命じたのですか」
荒療治で私を瀕死の状態に陥れたかったのはわかった。
大幅に――本当にかなり大幅に譲って、それは許す。
結果として私は能力を開花させ、生きているわけだし。
けれど、旦那様に名まで使って手を下させる必要はない。
あれからどれだけ旦那様が苦しんでいるのか知っているのだろうか。
「だって、面白いじゃないか」
どうしてそれがわからないのだろうと彼は不思議そうで、静かに怒りが湧いてくる。
「これが愛する、これを愛している人間をこれに殺させる。
もー、まさしくふたりとも悲劇の主人公という顔をしていて、最高の喜劇だったよ」
思い出しているのか、彼がくつくつとおかしそうに笑う。
それですっと頭の芯が冷えた。
この人は人の皮を被った化け物だ。
理解しようとするだけ無駄。
関わりあわないのが一番だが、旦那様の主で保護者的立場なのでそうはいかないのがもどかしい。
「そんな目で見ないでよ。
冗談じゃないか」
笑いすぎて出た涙を彼が指先で拭う。
その覚悟だと旦那様の身体に殺気が満ち、一触即発の空気となる。
「どうして旦那様に私を殺すように命じたのですか」
荒療治で私を瀕死の状態に陥れたかったのはわかった。
大幅に――本当にかなり大幅に譲って、それは許す。
結果として私は能力を開花させ、生きているわけだし。
けれど、旦那様に名まで使って手を下させる必要はない。
あれからどれだけ旦那様が苦しんでいるのか知っているのだろうか。
「だって、面白いじゃないか」
どうしてそれがわからないのだろうと彼は不思議そうで、静かに怒りが湧いてくる。
「これが愛する、これを愛している人間をこれに殺させる。
もー、まさしくふたりとも悲劇の主人公という顔をしていて、最高の喜劇だったよ」
思い出しているのか、彼がくつくつとおかしそうに笑う。
それですっと頭の芯が冷えた。
この人は人の皮を被った化け物だ。
理解しようとするだけ無駄。
関わりあわないのが一番だが、旦那様の主で保護者的立場なのでそうはいかないのがもどかしい。
「そんな目で見ないでよ。
冗談じゃないか」
笑いすぎて出た涙を彼が指先で拭う。



