不吉なことを言われ、肩がびくりと跳ねる。

「やだぁ、冗談よ、冗談」

私が顔色を失い、紫乃はおかしそうにけらけらと笑った。

「……ま、食べられない保証はないけれど」

紫乃の言うとおり、相手は鬼。
人間に使役されているとはいえ、本性は物の怪なのだ。
なにをするのかわからない。
それでなくても白珱様が戦場に立てば、敵はおろか味方も無事ではいられないといわれている。

「はい、できあがり」

鏡の中の私に着物はお世辞にも似合っているとはいえなかった。
朱色と生成りの市松模様の着物に緑の帯、帯揚げは黄色で帯締めは桜色など、ちぐはぐも甚だしい。

「とーってもお似合いよ、お姉さま」

紫乃はイヤラシく目を歪め、にたにたと笑っている。
私に恥を掻かせたいのだろうが、どうでもよかった。

「そうだ。
はなむけにお姉さまの未来を見てあげる」

私の手を取り、紫乃は椅子に座らせた。
私の前に座り、彼女がタロットカードを広げていく。
西洋から来たそれが、最近の彼女のお気に入りだった。
手際よくカードを切り、テーブルの上で横一列に広げる。

「好きなのを一枚、選んで」

「じゃ、じゃあ……これ」