それでも、いまだに人を手にかけるのには慣れない。
いや、年々酷くなっていっている。
昨日よりも今日。
今日より明日。
増していく苦痛に押しつぶされそうになる。
この地獄はいったい、いつまで続くのか。
「どうか命だけはお許しください……!」
唐突に悲痛な涼音の声が聞こえてきて、振り上げた手が止まる。
「どうか、どうか命だけはお許しください……!」
そちらを見ると涼音が汚れるなどいとわずに地面に座り、公通に頭を下げていた。
やめろ、涼音。
そんなことをしてもそやつは許してくれない。
それどころか不興を買い、お前まで惨い目に遭ってしまう。
「うん、わかった」
公通が許しの言葉を口にし、にっこりと笑うのが信じられなかった。
まさか、許すのか。
きっとただの気まぐれだろうが、殺さずにすむならそれでもいい。
ほっと手を下ろしたものの。
「とでも言うと思ったのかい?」
次の瞬間には冷酷な顔へと変わっていた。
許すなどありえないとわかっていたのに、信じた自分を呪った。
「白珱。
涼音さんを殺しなさい」
冷え冷えとした声が惨い命令を下す。
やつがれに最愛の妻を殺せと。
いや、年々酷くなっていっている。
昨日よりも今日。
今日より明日。
増していく苦痛に押しつぶされそうになる。
この地獄はいったい、いつまで続くのか。
「どうか命だけはお許しください……!」
唐突に悲痛な涼音の声が聞こえてきて、振り上げた手が止まる。
「どうか、どうか命だけはお許しください……!」
そちらを見ると涼音が汚れるなどいとわずに地面に座り、公通に頭を下げていた。
やめろ、涼音。
そんなことをしてもそやつは許してくれない。
それどころか不興を買い、お前まで惨い目に遭ってしまう。
「うん、わかった」
公通が許しの言葉を口にし、にっこりと笑うのが信じられなかった。
まさか、許すのか。
きっとただの気まぐれだろうが、殺さずにすむならそれでもいい。
ほっと手を下ろしたものの。
「とでも言うと思ったのかい?」
次の瞬間には冷酷な顔へと変わっていた。
許すなどありえないとわかっていたのに、信じた自分を呪った。
「白珱。
涼音さんを殺しなさい」
冷え冷えとした声が惨い命令を下す。
やつがれに最愛の妻を殺せと。



