「では、武運を祈る」
「武運って戦いに行くわけじゃないんですから」
おかしそうに笑う涼音の額に口づけを落とす。
「いってまいります」
ドアが閉まり、彼女の姿が見えなくなるまで笑顔を保った。
完全に閉まった瞬間、気を引き締めて自室へと戻る。
そのまま、軍服へ着替えた。
もしかしたらもう二度と、涼音には会えないのかもしれない。
あれが今生の別れになるかと思うと、胸が引き裂かれる思いがした。
涼音を送って戻ってきた菰野と一緒に異能特別部隊の本部へと向かう。
いつの間にか降り始めた雪が、あたりを少しずつ白く染めはじめていた。
「しかし、非番の隊員も全員出動ってなんなんですかね?」
盛んに首を捻っている彼は今からなにが起こるのか、知らない。
それが不幸なのか――それとも幸福なのか。
蒿里伯爵の動きが怪しいと聞かされたのは、ハニィムーンがたった一日で終わってしまった翌日だった。
公通はやつがれに調べてこいと命じてきたが、きっとあやつは随分前――やつがれが涼音を妻とするよりも前から知っていたのではないだろうか。
わかっていて、涼音をやつがれの妻として認めた。
「武運って戦いに行くわけじゃないんですから」
おかしそうに笑う涼音の額に口づけを落とす。
「いってまいります」
ドアが閉まり、彼女の姿が見えなくなるまで笑顔を保った。
完全に閉まった瞬間、気を引き締めて自室へと戻る。
そのまま、軍服へ着替えた。
もしかしたらもう二度と、涼音には会えないのかもしれない。
あれが今生の別れになるかと思うと、胸が引き裂かれる思いがした。
涼音を送って戻ってきた菰野と一緒に異能特別部隊の本部へと向かう。
いつの間にか降り始めた雪が、あたりを少しずつ白く染めはじめていた。
「しかし、非番の隊員も全員出動ってなんなんですかね?」
盛んに首を捻っている彼は今からなにが起こるのか、知らない。
それが不幸なのか――それとも幸福なのか。
蒿里伯爵の動きが怪しいと聞かされたのは、ハニィムーンがたった一日で終わってしまった翌日だった。
公通はやつがれに調べてこいと命じてきたが、きっとあやつは随分前――やつがれが涼音を妻とするよりも前から知っていたのではないだろうか。
わかっていて、涼音をやつがれの妻として認めた。



