「はっ」
綱木長官に命じられ、旦那様が父の前に立つ。
父を見る旦那様の目は苦悩で歪んでいる。
その瞬間、身体が反射的に動き、去っていこうとする綱木長官に土下座していた。
「どうか。
どうか命だけはお許しください……!」
必死の思いで地面に額を擦りつける。
「父がしたことは絶対に許されないとわかっています。
それでも私にとってはたったひとりの実の親なんです。
一生、監禁生活でもかまいません。
どうか、どうか命だけはお許しください」
私ごときが長官に願い出るなど、出過ぎた真似だとわかっていた。
けれど、そうするしかできない。
「うん、わかった」
長官の声が聞こえ、顔が上がる。
彼は優しくにっこりと笑っていて、許してもらえるのだとほっとした。
「とでも言うと思ったのかい?」
しかしすぐに、表情が変わる。
私を見下ろすその目は、まるで虫けらでも見るようだった。
「涼音さんは利用価値がありそうだから生かしておいてあげようと思ったんだけど、気が変わった。
白珱。
涼音さんを殺しなさい」
魂まで凍りつきそうなほど、冷え冷えとした声が響く。
「嫌だ、できない」
綱木長官に命じられ、旦那様が父の前に立つ。
父を見る旦那様の目は苦悩で歪んでいる。
その瞬間、身体が反射的に動き、去っていこうとする綱木長官に土下座していた。
「どうか。
どうか命だけはお許しください……!」
必死の思いで地面に額を擦りつける。
「父がしたことは絶対に許されないとわかっています。
それでも私にとってはたったひとりの実の親なんです。
一生、監禁生活でもかまいません。
どうか、どうか命だけはお許しください」
私ごときが長官に願い出るなど、出過ぎた真似だとわかっていた。
けれど、そうするしかできない。
「うん、わかった」
長官の声が聞こえ、顔が上がる。
彼は優しくにっこりと笑っていて、許してもらえるのだとほっとした。
「とでも言うと思ったのかい?」
しかしすぐに、表情が変わる。
私を見下ろすその目は、まるで虫けらでも見るようだった。
「涼音さんは利用価値がありそうだから生かしておいてあげようと思ったんだけど、気が変わった。
白珱。
涼音さんを殺しなさい」
魂まで凍りつきそうなほど、冷え冷えとした声が響く。
「嫌だ、できない」



