旦那様も綱木長官も炎龍に食べられてしまった。
腰が抜け、その場にぺたりと座り込む。
やはり紫乃の先読みのとおり、この反乱は成功するんだろうか。
「あーあ。
ちょっと焦げちゃったよ。
帰ったらお仕置きだからね、白珱」
その場に似つかわしくないのんびりとした声が聞こえ、そちらへ目を向ける。
火勢が衰え見えてきたのは、何事もなかったかのように平然としている綱木長官だった。
その前で今まさに襲いかかろうとする炎龍の口を、旦那様が押さえている。
「うぉーっ!」
旦那様が咆哮を上げ、そのままばりばりと炎龍を真っ二つに裂いていった。
力を使い果たしたのか、父がその場に倒れ込む。
「少しは愉しませてくれるのかと思ってたのに、期待外れだよ」
まるでつまらない芝居でも見せられたかのような顔で、綱木長官は父を見下ろした。
「まだだ……まだ私は諦めん……蒿里家の悲願……」
もう勝負は決しているというのに父はいまだ諦めていないらしく、呪詛のごとく呟きながら綱木長官の長靴を掴む。
「触れるな、虫けらが」
しかし穢らわしそうに綱木長官はそれを邪険に振り払った。
「白珱。
始末しろ」
腰が抜け、その場にぺたりと座り込む。
やはり紫乃の先読みのとおり、この反乱は成功するんだろうか。
「あーあ。
ちょっと焦げちゃったよ。
帰ったらお仕置きだからね、白珱」
その場に似つかわしくないのんびりとした声が聞こえ、そちらへ目を向ける。
火勢が衰え見えてきたのは、何事もなかったかのように平然としている綱木長官だった。
その前で今まさに襲いかかろうとする炎龍の口を、旦那様が押さえている。
「うぉーっ!」
旦那様が咆哮を上げ、そのままばりばりと炎龍を真っ二つに裂いていった。
力を使い果たしたのか、父がその場に倒れ込む。
「少しは愉しませてくれるのかと思ってたのに、期待外れだよ」
まるでつまらない芝居でも見せられたかのような顔で、綱木長官は父を見下ろした。
「まだだ……まだ私は諦めん……蒿里家の悲願……」
もう勝負は決しているというのに父はいまだ諦めていないらしく、呪詛のごとく呟きながら綱木長官の長靴を掴む。
「触れるな、虫けらが」
しかし穢らわしそうに綱木長官はそれを邪険に振り払った。
「白珱。
始末しろ」



