幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

紫乃よりもずっと重いそれに耐えられず、身体が倒れた。
それでもまた身体を起こし、じっと父と視線をあわせる。

「なんだその目は!」

再び、父の手が飛ぶ。
今度はどうにか耐えた。

「お父様がなにを企んでいるのか存じませんが、こんなの成功するはずがありません」

綱木長官は〝わかっていて〟ここに私を寄越した。
きっと今頃、父たちを捕まえるために動いているはず。
……ううん。
生きて捕まえられるのならいい。
ふと、頭の隅を殲滅という言葉がよぎっていき、慌てて打ち消した。

「今なら私が綱木長官に助命の嘆願をして差し上げます。
だから……」

「うるさい!」

今までで一番重い平手が私の頬を押そう。
目の前が明滅し一瞬、意識が飛んだ。
耳鳴りがし、頭までじんと痺れる。

「オマエごときが私の助命を嘆願だと?
笑わせるな。
だいたい、この計画は絶対に成功する。
紫乃がそう、先読みしているからな。
事がなしえた暁にはオマエを一番に、処刑してやる」

鼻息荒く広間を出ていく父を床に転がったままぼーっと見ていた。
父がどんな計画を立てているのか知らないが、本気で成功すると思っているのだろうか。