父がグラスを掲げると同時に鬨の声のような声が上がる。
いや、実際に鬨の声だったのだ。
あっという間に私たちは熱気に包まれる一団に囲まれていた。
後ろ手に縄で縛られ、広間の隅に集められる。
私の右隣に座るのは司法大臣だし、左隣は内務大臣だった。
他にも政府高官が複数いる。
父はもしかして、国家転覆を企んでいるのか。
「お姉さまぁ。
おひさしぶりぃ」
嫌らしい笑みを浮かべ、紫乃が夫となった三鷹啓輔とともに私の前に立つ。
「啓輔さまぁ、紹介しますぅ。
なーんにもできない無能の姉ですぅ」
媚びるように紫乃は啓輔にしなだれかかり、私へ侮蔑の視線を送った。
「ああ、例の」
啓輔も私をバカにしてくすくすと笑っている。
それをなんの感情もなく見ていた。
「なんだか立派なお着物を着ていらっしゃるけど、お姉さまにそんなものが似合うと思っているの?」
近くにあったワインの瓶を紫乃が掴む。
なにをするのかと見ていたらその瓶を私の頭の上で逆さにした。
どばどばとワインが私に降り注ぎ、桜色の着物に赤いシミを作っていく。
「ほら。
これでマシになった」
いや、実際に鬨の声だったのだ。
あっという間に私たちは熱気に包まれる一団に囲まれていた。
後ろ手に縄で縛られ、広間の隅に集められる。
私の右隣に座るのは司法大臣だし、左隣は内務大臣だった。
他にも政府高官が複数いる。
父はもしかして、国家転覆を企んでいるのか。
「お姉さまぁ。
おひさしぶりぃ」
嫌らしい笑みを浮かべ、紫乃が夫となった三鷹啓輔とともに私の前に立つ。
「啓輔さまぁ、紹介しますぅ。
なーんにもできない無能の姉ですぅ」
媚びるように紫乃は啓輔にしなだれかかり、私へ侮蔑の視線を送った。
「ああ、例の」
啓輔も私をバカにしてくすくすと笑っている。
それをなんの感情もなく見ていた。
「なんだか立派なお着物を着ていらっしゃるけど、お姉さまにそんなものが似合うと思っているの?」
近くにあったワインの瓶を紫乃が掴む。
なにをするのかと見ていたらその瓶を私の頭の上で逆さにした。
どばどばとワインが私に降り注ぎ、桜色の着物に赤いシミを作っていく。
「ほら。
これでマシになった」



