幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

胸を張って堂々と受付の前に立つ。

「綱木長官の名代で参りました、涼音です」

私が名乗った途端、周囲がどよめいた。
受付の人間も私が本当に綱木長官の名代だと信じていないようだ。

「書状を預かって参りました」

それは私を名代としていかせる代わりに、私を長官として扱うようにと綱木長官に旦那様が書かせたものだ。

「し、失礼いたしました!
ご案内いたします!」

それを読んだ途端、係の人間は恐縮し、態度が丁寧になった。
旦那様が嫌がる綱木長官に無理矢理書かせた甲斐があるというものだ。

席は綱木長官の名代なので、かなり上のほうだった。
そんな席に座っている私を見て、親類の男が披露宴会場を出ていくのが見えた。
少しして戻ってきた彼は義母を連れていて、ため息が漏れる。

「ここはあなたのような人間が来るところではありません!
出ておいきなさい!」

ヒステリックに叫び、義母が外を指さす。
その声に以前を思い出し、身が竦んだ。
しかし私は今日、正当な理由でここに来たのだ。

「ほら!
早く出ておいき!」

私が俯いているからか、義母はさらに高圧的に私の腕を取った。